推定相続人に重度の障がいを抱える方がいるため、自身が亡くなった後の手続きを円滑するために遺言書を作成した事例
- 2026.08.27

ご相談者
相談者は80代の女性です。相談者には、長男、長女、二男の3人の子どもがおります。既に20年前にご主人は亡くなられております。現在、大阪市住之江区にある一軒家にお住まいです。この一軒家はもともとご主人名義だったのものをご主人が亡くなった際に相談者名義に変更したものです。
相談内容
相談者の子どものうち、二男は重度の知的障がいを抱えておられ、長女が二男の身の回りの面倒を見ておられました。もしこのまま相談者が亡くなられた場合、相談者名義の一軒家の名義変更の手続きを行うには、相談者全員の署名押印等の手続きが必要となります。仮に、相続人全員の共有名義とした場合であっても、その後、その不動産を売却して処分するとなった際には、共有者全員が売主として売買契約書等に署名押印等をしなければなりません。ただ、そういった手続きを二男が行うことは現実的に困難と言わざるを得ない状況でした。
相談者としては、相談者名義の一軒家について、長男及び長女において必要に応じて自由に処分してほしいとお考えで、相談者名義の預貯金については、長男、長女及び二男において平等に取得して欲しいとお考えでした。
そこで、今後どのようにしていくのがよいかとご相談に来られたのが本件です。
当事務所の対応方針
相談者としては、今の時点でお住まいの名義を長男か長女に変更するという方法もお考えのようでした。しかし、その場合、相談者からの贈与ということとなり、贈与税の負担が生じることとなり得ます。そこで、遺言書という形で、相談者が亡くなった後に、残されたお子さん達においてスムーズに手続きを行えるよう準備しておくことをお勧めしたところ、公正証書遺言の作成をご依頼いただくことになりました。
公正証書遺言によって遺言者名義の不動産を特定の相続人に相続させる旨の内容の記載をしておけば、その公正証書遺言を用いて不動産の相続登記が可能となります。その場合、相続人全員が遺産分割協議書などを作成して署名押印する必要がなくなります。
本件では、公正証書遺言に、相談者名義の一軒家については長男と長女に相続させるという内容を記載し、相談者名義の預貯金については、長男、長女及び二男で各3分の1相続させるという内容を記載するとともに、これらの遺言書の内容を実現するための遺言執行者には当事務所の弁護士を指定するという内容を記載し、無事に作成手続きを終えることができました。
本件に関するコメント
ご自身が亡くなった後の遺産について、遺言書を作成しておかなければ、残された相続人が全員協力して名義変更等の手続きを行う必要があります。預貯金があった場合は金融機関に対する届出や必要書類の取得及び作成等の対応が必要となります。特に不動産があった場合は法務局に対して相続登記を行うなど諸々の手続きが必要となります。こういった手続きを、残された相続人に負担させることは忍びないとお考えの方も多くいらっしゃいます。
そのような場合、遺言書を作成することで、相続人の方々への今後の負担を軽減させることが可能です。自分の財産を誰にどのように残すのかといった点だけでなく、それに必要な手続きの手間をどう軽減させてあげるのかといった点からも、遺言書の作成をお勧めさせていただいております。















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