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遺言執行者の権限と義務はどのようなものですか

2023.01.27

Q. 私は、古くからの親友である甲の遺言書において遺言執行者に指定されていました。昨年、甲が死亡し、私は遺言執行者に就きましたが、いざ遺言執行に着手しようとしたところ、相続人の1人が遺産のすべてを管理しており、協力が得られずに困っています。遺言執行者である私は、どのように対処すればいいでしょうか。

A. 遺言執行者は,遺言の内容を実現するため,相続財産の管理や遺言執行に必要な一切の行為をする権利義務を有しています(民1012①)。他方,相続人は,遺言の執行を妨害する行為ができません。

ここで,「必要な一切の行為」とは,相続財産の完治その他遺言の執行のために「相当かつ適切と認める行為」(最判S44.6.26),すなわち遺言者の真意に沿った行為であるか否かによって判断されますが,遺言執行者としては,遺言の内容から自身の責任において判断するほかありません。

遺言執行者が行いうる相続財産の管理としては,相続財産を調査し,必要に応じて相続財産の管理者からの引き渡しを受けるなどの行為が考えられ,さらにこれを妨害する者には,訴訟提起などを行うこともできます。

遺言執行者がいる場合,相続人は,相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることができず(民1013①1014①),これに反する相続人の処分行為は,原則として無効です(民1013②)。

ただし,遺言の内容を知ることができない第三者との関係では,取引の安全を図る必要がるため,このような善意の第三者との関係では,相続人による処分行為は有効となります(民1013②但書)。

遺言執行者の遺言の執行については,委任の規定が一部準用されます(民1012③1020)。

具体的には,次の規定です。

⑴ 善良な管理者としての注意義務(民644)
⑵ 相続人からの請求があった場合の報告義務(民645)
⑶ 相続人のために受領した金銭その他の物や権利の引き渡し義務(民646)
⑷ 相続人のために受領した金銭を自己のために消費した場合の補償義務(民647)
⑸ 遺言執行のために必要な費用を支出した場合等の費用償還請求等(民650)
⑹ 任務が終了したが,急迫の事情がある場合の緊急処分義務(民654)
⑺ 委任事務終了自由を通知するまでの執行事務の継続(民655)
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