遺言執行者が相続預金の払戻しを銀行に請求する際の手続きはどのようなものですか
- 2023.01.27
Q. 遺言執行者が金融機関に対して相続預金の払戻しを請求する場合、どのような手続きを採ればいいでしょうか。
A. 遺言書に預金の遺贈や相続等の帰属が定められている場合には,相続人の同意なく金融機関に払戻請求をします。これに対し,遺言で預金の帰属が定められていない場合や当該預金に何ら触れられていない場合には,全相続人の同意を得て払戻手続を行うべきです。
遺言執行者には,遺言の内容を実現するため,相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権限があり(民1012①),相続人は相続財産の管理や処分を行うことはできません。
そうであるにもかかわらず,以前は,金融機関は,遺言執行者が選任されている場合でも,相続人全員の保証を求める手続きを経て初めて払戻しに応じていたようです。相続人間の紛争に巻き込まれることを回避する狙いがあったと思われます。
しかしながら,法律上は,遺言執行者の権限は,上記のとおり排他的なものであり,払戻しに際し,相続人らの承諾や保証は必要ありません。また,実際に遺言執行者から払戻請求訴訟が提起されれば,金融機関がこれを拒むことはできません。
そこで,現在では,遺言執行者が選任されている場合には,その遺言執行者に対し,預金の払戻しに応じているようです。ただし,この場合にも払戻請求に必要な書類は種々あり(被相続人の戸籍・除籍謄本や相続人全員の戸籍謄本,預金名義人の預金通帳・届出印,遺言書原本など),各金融機関によって様々ですので,どのようなものが必要かについては,直接,金融機関に確認する必要があります。