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遺言書に廃除の意思・理由が明記されていない場合も廃除請求できるのでしょうか

2023.01.27

Q. 私は、先日亡くなられた甲氏の遺言書において、遺言執行者に指定されています。甲氏の遺言書には、「夫には虐待を受けた。夫は私が親からもらった金も私の給料もボーナスも全部搾り取ったから、私が亡くなっても、夫には1円もやれないし、私の物には指一本触れさせない」と書かれてありました。遺言執行者に就任した私は、このような場合、夫の廃除の請求をすべきでしょうか。また、単に「夫を廃除する」とだけ書かれており、その理由が遺言書にはっきりとは書かれていない場合はどうでしょうか。

A. この場合,遺言には廃除の意思やその理由が書かれていませんが,現実に夫から虐待を受けるなどしており,単に夫の相続分をゼロと指定する趣旨にとどまらず,夫を廃除したいとまで考えていたことを窺わせるような事情がある場合には,廃除が認められる可能性があります。したがって事実の存否を調査したうえで,そのような事情がある場合には,廃除の請求をすべきです。

推定相続人のうち,相続欠格(民891)のように当然に相続資格をはく奪されるほど重大な事由ではないものの,被相続人に暴力をふるったりするなど,被相続人としては財産を相続させたくない場合があります。このような場合には,家庭裁判所が調停または審判によってその者の相続権をはく奪することができます。これが相続人の廃除です。

相続人の廃除は,遺言で行うこともできますので(遺言廃除,民893),この遺言廃除の場合には,遺言執行者が家庭裁判所に対して廃除の請求を行うことになります(民893)。

廃除の意思が明示されていない場合

遺言には,特定の相続人を「廃除する」旨の文言が明記されていないものの,その者を廃除するという趣旨ではないかと思われるものもあります。

この場合,「廃除する」とは書かれていなくても,遺言書作成の経緯等遺言書外の事情と,遺言書の記載内容等から客観的に排除の意思が推認できる場合であれば,廃除の趣旨であると認められます。

廃除の原因が明示されていない場合

逆に,遺言書中に,「廃除する」との文言が用いられていても,その理由が明記されていないこともあります。

法律上,廃除には一定の原因が必要ですので(892),そのような原因があるか否かを判断する必要があります。

遺言者の廃除の意思が明らかである以上,たとえ遺言にその理由が具体的に記載されていなくとも,やはり遺言書作成の経緯等から客観的に排除原因の存在が認められる場合には,廃除の請求が認容されますので,遺言書に廃除の原因が記載されていなくても,廃除が認められることはあり得ます。

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