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中小企業の事業承継円滑化のための支援策とはどのようなものですか

2023.01.27

Q. 私の父は町工場を営んでおり、近い将来、長男である私が父の会社を継ぐ予定です。母は早くに亡くなっており、父の相続人となるのは、私と、私の姉・弟の3人になります。
  中小企業の事業承継の円滑化を目的とした「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」という法律において、遺留分に関する特例が認められていると聞きました。その内容について教えてください。

A. 平成20年10月1日より,中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下「法」といいます。)が施行されました。この法は,①遺留分に関する民法の特例,②事業承継時の金融支援措置,③事業承継税制の基本的枠組みを盛り込んだ事業承継円滑化に向けた総合的支援策の基礎となる法律です。

今回は,①の遺留分に関する事項に焦点を当てます。

旧代表者が,後継者に全株式を贈与したとしても,遺留分による制約があるため,株式等が分散する可能性があります。

民法は,遺留分の事前放棄を認めていますが,これは,遺留分を放棄する者が,自分自身で家庭裁判所に許可を求めて申立てをしなければなりませんので,後継者でない者が自ら進んでこのような申立てを行うことはあまり期待できません。また,遺留分の事前放棄では,予め特定の財産について遺留分算定の基礎財産に算入すべき価額を固定することができません。

法は,このような制約を解決するため,推定相続人全員の合意によって,旧代表者から後継者に贈与された株式等について,遺留分算定の基礎財産への算入について一定の制限を設けられるようにし,経営権の基盤となる株式等の分散による会社経営の不安定化を回避しようとしています。

法は,推定相続人全員の合意によって,所定の手続きを経て,後継者が旧代表者からの贈与等により取得した株式等について,①その価額を遺留分算定基礎財産に算入しないこと,②遺留分算定基礎財産に算入すべき価額を予め固定すること,という特例の適用を受けられる制度を設けました。

この特例の適用を受ける当事者は次のとおりです。

⑴ 特例中小会社(法3①)
法2条の資本金の額等の要件を満たす中小企業のうち,一定期間以上継続して事業を行っているものとして経済産業省令で定める要件に該当する会社をいいます。
ただし,金融商品取引所に上場されている株式または店頭売買有価証券登録原簿に登録されている株式を発行している株強い会社は,特例中小会社から除かれます。
⑵ 旧代表者(法3②)
特例中小会社の代表者であった者(代表者である者を含みます。)で,他の者に対して当該中小会社の株式等を贈与した者です。ここでいう贈与とは,単に贈与契約を締結するだけでなく,株券の交付など,すでに履行されていることが必要です。
⑶ 推定相続人(法3④)
民法上の推定相続人とは異なり,旧代表者の兄弟姉妹およびこれらの子は除かれます。
⑷ 会社事業後継者(法3③9
旧代表者から,特例中小会社の株式等の贈与を受けた者,またはその株式等受贈者から株式等を相続によって取得した者で,特例中小会社の総株主又は総社員の議決権の過半数を有し,かつ,特例中法会社の代表者である者です。
この「総株主」からは,株主総会において決議をすることができる事項の全部について議決権を行使することができない株主は除かれます。
⑸ 旧個人事業者(法3④)
一定期間以上継続して事業を子なっていた個人である中小企業者であった者として経済産業省令で定める要件に該当する者であって,事業用資産の全部の贈与をした者をいいます。
⑹ 個人事業後継者(法3⑤)
旧個人事業者から事業用資産の全部の贈与を受けた個人である中小企業者又は事業用資産受贈者から事業用資産の全部を相続により取得した個人である中小企業者であって,当該事業用資産をその営む事業の用に供している者をいいます。
⑺ 非後継者
会社事業後継者や個人事業後継者以外の推定相続人です。

旧代表者の推定相続人はおよび愛車事業後継者は,その全員の合意によって,書面により,後継者が取得した株式労に関する遺留分の算定について次の内容の定めをすることができます。

ただし,当該会社事業承継者が所有する当該特例中小会社の株式等のうち,当該定めの対象株式を差し引いた残りの議決権数が,総株主又は総社員の議決権の100分の50を超える数となる場合は,この限りではありません。合意の対象となる株式等を除いても,会社事業後継者が議決権の過半数を確保できる場合には,特例を認める必要がないからです。

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