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「すべての遺産を〇〇に任せる」と書かれた遺言書の効力はどうなりますか。また、「相続させる」と「遺贈する」では遺言の効力に違いはありますか。

2023.01.27

Q. 私には長男と二男の二人の子供がいるのですが、財産については夫婦共々、長年世話をしてくれた長男にすべて相続させたいと思い、「財産はすべて長男に任せる」という遺言書を作ろうとしたところ、作成を依頼した弁護士から、「任せる」との文言は避けるべきだと言われました。「任せる」と書かれた遺言は無効になるのでしょうか。
また、その弁護士からは「相続させる」と書くのと「遺贈する」と書くのとでは違うとも教えられました。どういった点が異なるのでしょうか。

A. 「任せる」という文言は,それだけで財産を遺贈させる趣旨を含むのかどうかが明確ではないため,遺言の趣旨を確定することが困難です。もっとも,「任せる」と記載したからといって直ちに遺言が無効となるものではなく,個別具体的な事情をもって遺言書の趣旨を全体的に解釈することで遺言者の真意を探求すべきと解されています(最判昭58・3・18判時1075・115)。

この場合,あなたと長男との交際状況や関係性等の事実関係を考慮したうえで,「任せる」と記載された遺言の趣旨が解釈されることとなります。しかし,無用なトラブルを避けるためにも「遺贈する」などと明確に記載すべきであり,「任せる」といった多義的な解釈を許してしまう文言は控えるべきでしょう。

「相続させる」と書く場合と「遺贈する」と書く場合とでは,基本的には,対象となる不動産につき,遺産分割協議をすることなく所有権移転登記の申請ができるという点では同じですが,次の点において異なります。

登記手続

「遺贈する」と書く場合,遺贈を受けるものと全相続人(又は遺言書で定められた遺言執行者)との共同で登記を申請する必要があります。一方,「相続させる」と書く場合,その対象とされた者の単独で登記を申請することができます。

登記の登録免許税(平成18年4月1日以降)

「遺贈する」と書く場合,不動産の評価額の1000分の20です。ただし,相続人に対する遺贈を原因とする場合は不動産の評価額の1000分の4となります。一方,「相続させる」と書く場合,不動産の評価額の1000分の4となります。

なお,かつては,第三者に所有権を対抗するために登記を必要とすべきかどうかについて,「遺贈する」と書く場合には登記を必要とし(最判昭39・3・6判時269.20),「相続させる」と書く場合には登記を必要としない(最判平成14・6・10判時1791・59)とされていましたが,改正民法により,「相続させる」と書く場合にも登記を必要とすると定められております(民法899条の2第1項)。

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