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同じ日付の2通の遺言書がある場合、どちらが優先されますか

2023.01.27

Q. 先日、父が亡くなったのですが、父の自宅の金庫から、同じ日付の2通の遺言書が残されていることが判明しました。遺言の内容は2通ともほぼ同じですが、私と母が現在も居住している自宅について、一方の遺言書には母に相続させると書かれてあり、他方の遺言書には、父の親友であった甲さんに遺贈すると書かれていました。母は自宅を相続できるのでしょうか。

A. 複数の遺言書が存在する場合,死亡時に最も近い,後に作成された遺言が優先されます。この場合,先に作成された遺言は撤回されたものとみなされます(民法1023条1項)。

一方,同じ日付の2通の遺言書が存在する場合は,遺言書の内容やその他の事情を考慮し,2通の遺言書のうちどちらが後に作成されたのかを決める必要があります。それにより,あなたのお母さんに自宅を相続させるという遺言書が後に作成されたことを確定することができれば,あなたのお母さんが自宅を相続することができます。

しかし,それらの事情を考慮しても,遺言書作成の先後を決めることができない場合が生じることも考えられます。民法は遺言書の先後が不明な場合についての規定を設けておらず,この場合の取扱いについては学説に委ねられております。学説には2つの考え方があり,①2通の遺言の先後が全く不明のときは,同時に矛盾する意思表示がなされたものとして,抵触する部分はともに無効と考える説,②抵触する部分もともに有効として,一方を執行し,他方に対して賠償すべきと考える説とがありますが,①説が通説とされております。

今回の場合,一方の遺言書では自宅をお母さんに相続させるとし,他方の遺言書では自宅を甲さんに遺贈するとしており,自宅の相続について2つの遺言書は矛盾抵触しております。そのため,前記①説に則り,遺言のうち自宅の相続に関する部分は無効となります。この場合,一般の相続の方式に則り,お父さんの相続人にあたるお母さんとあなたが自宅を相続することとなります。

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