非嫡出子がいる場合、遺留分の算定割合はどのようになりますか
- 2023.01.27
Q. 私には妻と4人の子どもがいますが、それとは別に、婚前に別の女性との間に設けた子どもが1人います。私は現在の妻にすべての財産を相続させる旨の遺言書を作成する予定ですが、何か問題となることはありますか。
A. この遺言は,妻以外の相続人の遺留分を侵害していますので,それらの相続人から遺留分侵害額請求権が行使される可能性があります。その場合には,遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求する権利が発生することになります。
非嫡出子については,認知がなされていなければ遺留分は認められませんが,認知がなされていれば,その遺留分は,妻との間に生まれた子供の遺留分と同じ割合とされました。
遺言によって,あまりにも自由な相続財産の処分を認めると,推定相続人の生活の安定を害することがあります。そのため,被相続人の財産処分の事由と推定相続人の処理液との調整を図るために遺留分制度が設けられています(民1042以下)。
遺留分を有するのは,被相続人の兄弟姉妹を除く法定相続人で(民1042①),配偶者,子,直系尊属が遺留分を有することになります。
また,婚姻関係にない男女間に生まれた子(非嫡出子)と父親との父子関係は,認知によって発生します。認知には,任意認知(民779)と,強制認知(民787本文)があり,強制認知は,父親の死亡後3年が経過するまで提起することができます(民787但書)。
認知がなされると,子出生のときにさかのぼって,父親との間の権利義務が生じますので(民784本文),認知がなされれば,非嫡出子も,遺留分を有することになります。
遺留分の割合については,相続人が直系尊属のみの場合は3分の1,それ以外のときは2分の1とされています。
相続人が複数いる場合には,上記割合に遺留分権利者の法定相続分の割合を乗じたものが,各人の遺留分の割合となります。
また,平成25年12月11日から,嫡出子と非嫡出子との間の相続分の割合は等しいものとされています。